小6夏に中学受験を思い立ち、県内最難関の私立中高一貫校に合格した息子の話(地方都市)

本記事は、地方都市で暮らす息子が私立中学受験に挑戦した記録です。この記録を通じて、これから中学受験を考えている、もしくは現在進行形で挑戦中の親御さんの疑問や心配の解決に繋がればと思います。

中学受験を始めるにあたり疑問や心配に思うこと

子供の中学受験を考え始めた時、親御さんには色々な疑問や心配があると思います。特に自身が中学受験を経験していないウチのような場合、何から手をつければいいのやら、、、という状態になりがちだと思います。

また、地方都市は都心部などと違い、地元公立中に進学する人が大多数で、中学受験の対象校が少ない&受験生数が少ない&受験塾も少ない、という状況から、情報自体が少ないという状況もあるあるだと思います。

ところで、疑問や心配事は以下のようなことではないですか?まさに私が思っていたことです。これらについて、経験に基づいた回答となるよう意識して執筆していますので、是非最後まで読んでみてください。

  • 塾には行った方がいいか、行かないとどうなるか
  • どのくらいの勉強量が必要か、1日何時間くらい勉強することになるか
  • 受験準備はいつ頃から始めるものなのか、いつ頃始めれば間に合うのか
  • 志望校はどのように決めたらいいか
  • 模試は受けた方がいいか
  • 過去問はいつ頃からやるべきか
  • 親のサポートは何にどのくらい必要か
  • 塾、受験、入学、入学後にかかる費用はどのくらいか
  • 何か心がけた方がいいことはあるか

中学受験に挑戦するにあたり心がけるべきこと

先ほどのリストの最後に載せていた項目ですが、一番大事なことなので最初に言います。赤字部はウチの例です。

  • 子供の意思(自分自身が挑戦したいと思えるか)
    • 息子から受験したいと言い出したので問題なし
  • 目的(なぜ中学受験に挑戦するのか)
    • 親:6年間での大学受験対策が圧倒的有利。妙なトラブルが少なそう。
    • 息子:ハイレベルな友達と切磋琢磨したい。トイレが汚いのは無理。
  • 出口戦略(ダメだった時の考え方)
    • 地元公立中に進学
    • 中学受験を通じて脳を鍛えた経験は今後に活きるので合否はどちらでもいい

これを子供と話し合って、親子の共通認識とすることが大事です。中学受験憲法のようなものです。これがないと、つらい時、つまづいた時に耐えられません。特に子供の意思確認は大事です。中学受験は親のエゴ(親の成功体験の焼き直し強制、親の失敗のリベンジなど)を押し付ける場ではないのです。子供自身がやる気がないのに強制してもきっと長続きしません。

ウチの場合、親としては、将来の大学進学を選択肢に入れるなら、高校受験がなく6年間で大学受験対策ができる中高一貫校への進学もアリだと思っていました。ただ、自身の経験から、大事なのはどの学校に行くかではなく、本人がやるかどうかだとも思っていました。また、地元公立小の様子を見たり噂を聞いていると、色々な人がいて、できれば交流を避けたい人もいましたので、私立中に行けば縁が切れるなという考えもありました。

息子は中学受験のためというわけではありませんが、損にはならないだろうということで、幼少期から公文と英会話を習っていました。他は体操教室やスイミングです。あとは図鑑が好き、歴史が好きで漫画の日本の歴史は何度も読んでいました。本は読むのは速いけど、特に読書量が多いという感じではなかったです。

しかし、中学受験の情報(こういう中学があるよ、塾に行き始めている子もいるよ、と囁く程度)を息子に伝えても特に興味を示さず、小4終わりで公文は引退(小6単元までやっていましたが、計算ばかりでつまらないと)。小5からサッカーを始め、ゲームかサッカーかという毎日でした。そんな生活が続いていた小6の6月中旬に、突然息子が「A中学を受験したい」と言い出しました。A中学といえばこの地域では数少ない中高一貫校の中でもナンバーワンの難関中です。「さ、さすがに遅くね?汗」

この地域の人ならA中学の名前は知っていますが、受験となるとどうすればいいか分からなかったので、地元で有名な(ほぼ唯一)塾にアポを取って話を聞きました。塾の先生の第一声は「今からですか?、、、とりあえずこの時期から成功した前例はほぼないです」でした。しかし子供のに火がついているので、ダメ元で挑戦します。ダメだった時は地元公立中に行けばいいという逃げ道があるのが中学受験の特徴ですね。この時期に必死に勉強して脳を鍛えることは、受験の結果がどうであれ、その後の人生に役立つに違いないということは息子に言っておきました。

塾には行った方がいいか、行かないとどうなるか

中学受験に関して情弱の地方民にとって塾は必須でした。塾へ期待したのは以下のことです。

  • 志望校合格に必要な知識が得られる教材を提供してほしい
  • 上記知識をインプットしてほしい
  • 志望校の合格ライン目安(模試の得点率など)を教えてほしい
  • 志望校の入試問題分析データを提供してほしい
  • ライバルとの競争を意識させてモチベーションを上げてほしい

中学受験対策で習得しなければならない知識は結構特殊で膨大です。必要な知識を市販教材から得ようとしてもなかなか難しいと思います。ノウハウ十分な塾であればお決まりの教材があるはずで、それは入塾しなければ得られません。

教材が手に入ったとしても、それを自学自習するのは獣道です。導入は先生に解説してもらうのが効率良いと思います。ただし、授業を聞いただけでは分かった気になるだけで、全然身についていません。インプットだけではダメです。繰り返しアウトプットして初めて身につきます。アウトプットは自分でやるしかなく、塾には求めません。この辺は別の機会にお話ししたいと思います。

入試において最も大事なことは、合格者最低点(合格ライン)を1点でも上回って合格することです。そのためには、そのラインがどこにあるのかを知る必要があります。学校が公表している場合もありますが、入試問題での合格ラインを意識するのは入試直前期になります。もっと前の段階では、例えば塾の月例模試(毎度同じ難易度で作問されている前提)の得点率と合格ラインの目安がわかると、現在の自分の立ち位置が分かりやすいです。立ち位置が分かれば対策を打てます。その情報もやはり塾が持っているのです。なお、偏差値は受験母集団やテストの難易度などの影響を受けて変動しやすいため、参考程度に留めておくのが良いと思います。

入試問題には学校ごとに傾向というものがあります。どのような単元から出ているか、特殊な問題があるか、などなど。息子が入った塾では、学校ごとに過去10年間の出題単元の星取表が配布されました。こんなデータは素人には作成できません。

ところで、小学生が毎日長時間勉強し続けるなんて、普通に考えたら狂気の沙汰です。志望校に合格したいという気持ちで頑張りはするものの、時に挫けそうになるのが普通です。そんな時、同じ目標に向かって頑張るライバルがいたら励みになります。同じ志を持ったライバルが近くにいる環境、それを逆手に取って上手くモチベーションを上げてくれることも塾に期待するところです。

ちなみに、お世話になった塾はテスト結果によるクラス分けはなく(分けるほど人がいない)、成績が良い人が後ろというように席順を変えていたようです。

塾に行かないと上記を自分でやることになりますが、、できそうですか?

どのくらいの勉強量が必要か、1日何時間くらい勉強することになるか

塾の通常教材は、各教科につき参考書と問題集の2冊セットとなっていて、国語と算数は6年生用、理科と社会は5年生用と6年生用を入手しました。目次をじっくり分析しますと、6年生用の冒頭にこれまでの復習という単元がおまけ程度にありましたが、受験対象の単元は小5からガッツリ始まっているので、適宜遡る必要がありました。

小6算数の目次を例にすると

  • 復習
  • 分数の計算
  • 対称、折り返し、回転
  • 辺の比と面積の比
  • 場合の数
  • 立体
  • 比例と反比例、速さや濃さと比
  • 相似な図形の利用、立体の切断
  • 代表値と表、グラフ
  • 文章題講座(特殊算)
  • 強化問題

まるで中学数学のような構成です。参考書で200ページ以上、これとセットの問題集も同じボリュームです。1教科400ページ、4教科で1600ページ、5年生用2教科で800ページ、合計2400ページ。目眩がしそうですが、内容は導入から基礎強化といった感じです。塾では10月中にこれらを終えます。

基礎の完成度は秋以降の伸びに大きく影響しますので、抜けなく、完璧に基礎を磨くことを強くお勧めします。早く応用に行かないとマズイ、、と焦る気持ちはあると思いますが、結局大事なのは基礎。基礎の完成度は、正答できるかだけでなく、即答・瞬殺できるかを見れば分かります。

夏休みには塾の通常授業に集中講座が追加され、専用教材を用いてこれまでの総復習。夏休み明けからは週末に集中講座が追加、冬休みは直前講座、正月は正月講座、、、とにかく休みがないですし、費用もどんどんかかります。その度にこれまでの復習をするので、何周もやることで身体に刷り込まれるのは良かったです。ウチは体験していませんが、春休みやGWにも同じことが行われています。

11月以降は実践編に移行します(ちなみにこの地方の中学受験は1月に実施されます)。実践編ではプリント教材(実際の入試問題)や四谷大塚の予習シリーズ「入試実戦問題集問題集難関校対策」を使っていました。叩き込まれた基礎力を使って応用力を磨くステージです。やはり単元ごとの基礎問題と違って、入試レベルの問題は歯ごたえがあり、サクサク進めるという感じにはならないです。状況によっては基礎問題に戻って再チャレンジということも必要です。

ウチの場合、7月に入塾後、10月までに塾の進度に追いつきました。小6の6月までの単元を遡りつつ、塾の定常授業についていくという感じです。勉強時間は、平日6時間程度、休日10時間以上、休みなしという感じです。小6の4月からやっていればもう少し楽だった、小5からやっていれば余裕という感覚です。

受験準備はいつ頃から始めるものなのか、いつ頃始めれば間に合うのか

上記の通り、勉強すべき総量(基礎徹底)がわかると、1日にかけられる時間、こなせる量(効率的な方法や子供の能力に依存)から必要期間が定まります。細く長くやるか、太く短くやるかといった感じです。あとは志望校のレベルに応じて、実践編にかけるべき時間が変わってきます。ウチの場合、基礎徹底4ヶ月、実践編2ヶ月という感じでした。

息子の周りの子は早い場合小1から、普通は小5から入塾していました。小5から対策を始められれば遅いということはないと思います。小6からでもやれないことはないですが、子供の負荷は高くなります。

受験勉強の辛いところは、やれば必ず合格するという保証がないところだと思います。親からすると不合格だった場合、受験勉強が無駄になったと思いがちです。しかし、受験しない子が遊び回っている時間に高度な勉強をしたこと自体が貴重な経験です。この経験は近い将来きっと役立ちます。

志望校はどのように決めたらいいか

子供が行きたいと思える学校でないとモチベーションを維持できませんので、あの手この手で子供に働きかけましょう。子供自身が入手できる情報は限られますので、親のサポートが必要です。選択肢が複数あるなら全ての学校を見てみると良いです。外から見るだけでも子供の意識は変わりますし、説明会や文化祭などの機会に実際に学校の中の人に触れるとさらに印象が変わると思います。

ウチの場合、コロナ禍前(小3か小4の頃)に私立中合同フェアというお祭りに参加したのが志望校とのファーストコンタクトでした。その後だいぶん期間が開いてから実際に志望することになったのですが、コロナ禍で学校訪問のイベントは軒並み中止だったので、外から学校を眺めに行きました。より意識が高まったように感じました。あとはゴールに向かって一直線にやるだけです。

親としては大学受験を想定する以上、志望校の進学実績は気になるところです。息子の志望校であるA中学の進学実績は、1学年200人程度で旧帝大+国公立医が40〜50人程度という感じで、医学部への進学傾向が強い(つまり医者の子供が多い)です。実績は申し分ないというか出来杉君だと思いました。

模試は受けた方がいいか

絶対に受けた方がいいです。その時点で何ができて何ができないかを選別し、その後の対策を練るために模試を受けます。模試と志望校合格ラインの関係がわかるとなお良いです。模試の結果に一喜一憂する必要はありません。

塾の月例模試(毎度同じ難易度で作問されている前提)の得点率と合格ラインの目安がわかると、現在の自分の立ち位置が分かりやすいです。立ち位置が分かれば対策を打てます。

息子が入った塾では、毎月の月例模試(記述式)がありました。県内外30校程度の塾生が受験します。出題範囲が指定されていたので、その範囲を勉強することと過去3年間の同月の月例模試の過去問を解くという要領で進めました。なお、A中学の合格ライン=月例模試の得点率80%と言われました。4教科400点満点で320点が目安です。ちなみに息子が初めて受けた7月の月例模試の得点率は60%くらい、12月に初めて80%を突破しました。

半年に1回程度、中学受験生以外の小学生も受ける大規模模試(マーク式)もありました。こちらはいかにミスを減らすかというタイプの模試で、参考になることが少なかったので、ウチは重要視していませんでした。

秋以降は志望校別の冠模試(A中学プレ入試など)という模試が何度かありました。この模試を受験するのは実際の志望者なので、模試の順位が合格ラインに直結します。本番に向けて徐々に緊張感が高まります。息子は合否の境目あたりをウロウロしていました。

ということで、色々なデータが得られる模試は受けるべきです。ただし、大事なことは模試で得たデータを苦手分野のテコ入れ、得意分野のレベルアップなどその後の勉強に活かすことです。

過去問はいつ頃からやるべきか

塾の先生に「過去問は塾がやって良いと言うまでやらないでください」と言われていました。意図としては、全範囲の学習が終わっていない時点でやっても無意味、できれば基礎徹底の後の実践編がある程度進んだ段階でやり、その後の調整に活かすべきということです。ウチは12月からやり始めました。

実際の入試は半日で終わります。ということは過去問1年分をやると言っても半日で終わります。そんなに身構える必要はないですし、過去問といえどもその後の勉強のデータ取りという位置付けでいいと思います。

そうは言っても実際の入試問題がどんなレベルなのかなどすごく気になりますよね。試しに1年分解いて体験するのもアリだと思いますよ。学習が進んでいない内は、打ちのめされる可能性大なので、結果は気にしないようにしましょう。

親のサポートは何にどのくらい必要か

塾の先生から「勉強のことは塾に任せてください」と言われていました。暗に余計なことはしないでほしいということだと受け取りました。勉強を進める中でわからない問題(特に算数)など勉強自体のことは、塾の先生に教えてもらうようにしました。

一方で、勉強以外のこと(例えば下記)は夫婦でフルサポートしました。

  • 各種情報収集
  • 学習管理(未履修範囲のキャッチアップ、月例テスト対策、テスト後のフォロー)
  • 問題集や月例テスト過去問の採点
  • 塾への送迎、弁当用意

情報収集の対象は、主に第一志望校の入試に関連する情報です。塾と親の面談が定期的にあり、息子の塾での様子を聞いたり、学習進度の状況や第一志望校以外の受験についても情報をいただきました。入塾した頃は、「最近始めたにしてはよくできる」という先生評が、秋頃から「もしかしたら行けるかも」に変わってきました。志望校は一択でしたが、一発勝負は良くないので、練習で別の学校も受験した方が良いとアドバイスされ、最終的には3校受けることになりました。

ウチのような時間的余裕が全くない状況では、親による学習管理は必須でした。未履修範囲、範囲が明示される月例テスト、テストでできていなかった単元などからやるべき事が分かるので、それをいつやるか計画します。それを子供と共有して、子供は粛々と勉強します。

勉強した後の採点も親の仕事でした。採点結果は学習管理に関わってきますし、そもそも息子にはそんなことをしている時間がありません。純粋に勉強する時間を確保するために付帯作業は全て親がサポートしました。

塾、受験、入学、入学後にかかる費用はどのくらいか

塾は週2日でしたが毎日自習室を使っていました。入学金、授業料、教材費、テスト費、設備費、夏期講習、秋季講習、冬季講習、正月講習など塾関係で60万円程度でした。

3校の受験料、1校の入学金などで45万円程度でした。

入学後は制服、教材費など15万円程度、毎月の学費が4万円程度、その他に学外実習、部活などで毎月のように何らかの請求があります。

息子の中学受験結果

受験順に書きます。

私立中高一貫校(B中学)

この地域では2〜3番手のB中学を練習のために受験しました。B中学にはいくつかのコースがあり、最も難易度が高い医療系コースを受験しました。入試問題は、難問はなくミスをした者負けの部類。

結果は特待生枠で合格。6年間で450万円相当の学費、制服費、留学費などが免除されるということで、親としてはここでいいじゃんと思いましたが、本人に行く気がないので残念。

第一志望校の受験日には結果が出ていませんでしたが、本人的には手応えがあったので本番に向けて自信になったようです。

私立中高一貫校(A中学)

B中学受験の2日後に第一志望のA中学の受験です。半年間全力で頑張った成果を出す時です。校門で見送った後、一人で真っ直ぐ受験会場へ向かう姿を見て、ずいぶん成長したなと感慨深かったです。

昼過ぎに迎えに行った時の息子の顔は自信に満ち溢れており、第一声は「勝ったわ」。いつもの口癖なのですが、あまり勝ったためしがありませんw

夜に塾から解答速報が流れてきたので、大雑把に自己採点したところ、これは本当に勝ったかも?という結果でした。この年は問題の傾向が結構変わっていて、後で聞いた話では難化したと。

結果は数日後に郵送で送られてきました。送られてきた封書はペラペラだったので、「合格者には入学案内とか分厚めの資料があるのでは?」と若干心配に。息子の帰りを待って、本人に開封の儀をお願いします。

見事合格!

塾にも直接報告をして、夕飯は息子の大好物の鮨です。とりあえずしばらくは息子を野に放ち、自由に好きなことをしていいよとなりました。休止していたサッカーや英会話もここから復帰しました。

国立中学校(C中学)

国立中学あるあるですが、高校がない学校です。したがってC中学に行った場合は高校受験が必要になります。ただし、その進学実績は素晴らしいもので、公立TOP高校に多数進学しています。

A中学の合格発表後だったので完全に腑抜け状態で受験しています。しかも面接ありだったので、受けたくないとまで言い出しました。

一応合格しましたが、得点開示を見ると、よく受かったね、、という酷い点数でした。やはり気力と成績は密接に関係しているのだと実感しました。

まとめ

以上の通り、息子は第一志望の中高一貫校に進学することになりました。本ブログでは中学受験での勉強や進学後の中高一貫校での大学受験に向けた勉強に関する発信をしていきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。もし聞きたいことなどがあれば、お問合せフォームやX(Twitter)などでお気軽にお問合せください。

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